団地の子

「暖地の子とは遊んじゃいけません」って話。

これってある世代には「よそはよそ、うちはうち」の次くらいにメジャーなオカンがいう言葉らしい。

いかんせん70年代初頭は、私自身が“団地の子”だったので、当然オカンから言われたことがない訳よ。

でも当時はまだ「団地」は今のタワマンくらいに憧れられる住宅であったわけで、そんな所に住む子供と遊ぶなというのはなんかおかしい。

で、思ったんだけどこれ世代によって意味3種類あるな。

一つ目の意味は、60年代にまだ多く残っていたバラック小屋のスラム街、これを解消するために行政が動き、都市計画に協力して立ち退く代わりに提供されたのが改良住宅という名前。これを一気に作るもんだから、当然改良住宅の団地になるわけなんだけど、これが団地と省略されたんだよ。

この動画でも改良住宅が取り上げられている。(ウンコ注意)

イギリスの映画じゃなくて、英(おそらくヒデ)映画社の作品。企業案件で他にも当時の映画が沢山残っているんだが、それはさておき…

でこの改良住宅って一階が店舗になってるのよ。つまり商売が出来るようになっているわけなんだけど、これある意味部落の象徴なんだよね。なので60〜70年代の団地の子と遊ぶなというのは、そういう意味。高島平とか千里ニュータウンの団地とは違うんだよ。

2つめの団地ラッシュで憧れの住宅の時代の「遊んじゃいけません」は、おそらくよそ者だったから。昔から住む田舎の人間にとって、都会から来る若い世代は怖かったに違いない。だから新参者と仲良くするんじゃないという意味。

もう一つは90年代くらいの意味。当時最新鋭だった団地も築20〜30年のボロ物件だから、低所得者が増え、更にその安さから訳ありの人が多く住むようになる。なので単純に貧乏人・ガラが悪い人達の子供という意味での団地の子だと思う。

そういえばついでに関西独特なんだけど「文化住宅」ってのがある。もともと文化住宅ってのは大正期に洋風建築形式を取り入れた住宅のことで、「サツキとメイの家」みたいなやつなんだけど、関西の文化住宅はこういう量産型のアパートのことを言う。

木造モルタル2階建てという、火を付けたら一発でアレな建物。実際阪神淡路大震災の時には多くが被害にあった。

70年代には既に皮肉っぽく文化住宅wって感じだったなあ。

関東から文化住宅と聞いて引っ越してきて絶望したってのもよく聞いた話だった。