ドップラー効果

 

永江氏はマーケタ・コンサルタントな人。ブログが独自観点が多く面白いので、ちょっと文章が攻撃的なところもあるけど、まあ単行本を買うぐらいにはファンではある。

んで、このツイートはあくまでも科学的リテラシーの低さを憂うもので、ドップラー効果がメインではないのを百も承知で、絡んでみる。

1・音の高い低い

まず日本語として、高吟放歌・高歌放吟・放歌高唱などの言葉がある。古いホテルの規約に禁止事項として書いてあることもあるこの言葉は、「大声で騒ぐ」という意味。つまりこの高いは「大声」という意味、さらにスピーカは以前「高声器」と呼ばれていたように、「音が高い低い」が音量に対して使われることがあると言うことだ。「声高に叫ぶ」といっても、音程を高くして叫ぶわけじゃないってことね。

なので、質問された側が音量が抑えられたと受け取ったのであれば、回答としては普通。実際に音量の切り替えがあり、通常は「小」が基本状態なんだけど、交差点通過時に「大」にしたものを「小」に下げることがあるので、音量が変わることがあるというのは正解。また停車中はサイレンを切る。

2・音質の高い低い

さらに少数派ではあるけれど、倍音が多く含まれた音を「音が高い」ということもある。一般人の会話なら「バイオリンって、フルートより音が高いでしょ?」ってのは普通に成り立つ。そして、救急車によっては「住宅モード」を搭載している物もあり、これはまさに物理的に「音程」が落ちる。

3・サイレンを聴いていない

質問では「すれ違う」と書いてあるから、車に乗っている前提。確かにすれ違いならドップラー効果は高くなるから、音程の差違に気がつきやすいのは事実。

けれど運転手はサイレンが聞こえたら運転操作に集中するし、運転してなければ単なる雑音でしかないので、どちらもどう聞こえるかなんて気にしていない。相手が女子と呼べる年齢ならなおさらだろう。

4・ドップラー効果は言うほど起きない

多くの人が救急車のサイレンを聞くのは歩行者の時。(ど田舎は知らん)つまり要因がほぼ救急車のスピードだけという状態。緊急車両とはいえ、街中での救急車の出せるスピードなんてたかが知れている。せいぜい50キロ程度。(むしろ信号を無視することに夜時間短縮の方が大きいわけだ。)

じゃあ50キロで計算すると、救急車のサイレンの高い方の基本周波数960Hzが、ドップラー効果で近づくとき約1084Hz、遠ざかるとき923Hzくらいになる。これは音楽の音程で言う“全音”くらいの差。つまり、シソシソと聞こえていた音程がラファラファになるのと同じくらい。

もちろん聞き比べれば、誰でも明らかに解る音程差だけど、興味がない状態で聞いている音なら、え?下がったっけ?くらいの感覚だと思うんよ。なのでドップラー効果で科学的リテラシーをはかるというのはちょっと乱暴と言いたかったのだ。